Editor Solar エディターを開く

太陽電池モジュールの直列・並列とストリング

· 読了時間:約6分 ·

Voc・Vmpと温度補正からストリングの枚数を検討。インバーターのMPPT範囲、入力電圧、並列接続の注意点を学びます。

ストリングとは

ストリングは、太陽電池モジュールを直列につないだ一列の回路です。1枚の+端子を次の−端子につなぎます。蓄電池と同じく、直列では電圧を加算し、並列では電流を加算します。インバーターの入力仕様に合わせて枚数を決めます。

モジュールの直列接続

電圧を加算

  1. 41.5 V
  2. 41.5 V
  3. 41.5 V
  4. ≈ 125 V
  • 10枚 × 41.5 V ≈ 415 V
  • 電流は1枚と同じ(約13 A)
  • インバーターまでの配線本数を抑えられる

ストリングの並列接続

電流を加算

  1. ストリング1
  2. 接続箱
  3. ストリング2
  • 2列 × 13 A ≈ 26 A
  • 電圧は1ストリングと同じ
  • 同じ入力につなぐストリングの仕様をそろえる

確認すべき仕様値

49.5 VVoc:開放電圧。電流を取り出さないときの電圧
41.5 VVmp:最大電力点での動作電圧
13.9 AIsc:モジュールの短絡電流
≈ 495 V10枚直列のストリングのVoc
標準試験条件(STC)における説明用の値です。実機の仕様書を確認してください。

MPPTの動作範囲

インバーターはMPPTで最大電力点を追従します。確認する限界は2つあります。ストリングのVmpは高温時も低温時もMPPT範囲内に収め、Vocは最も寒い日にも最大入力電圧を超えないようにします。MPPT上限と絶対最大電圧は同じ値とは限りません。

10枚のストリング:Vmpは高温時350 V~低温時451 V、低温時Vocは528 VMPPT範囲最大600 V高温時Vmp 350 V低温時Vmp 451 V低温時Voc 528 V0 V345 V690 V
この10枚の例では、高温から低温までVmpがMPPT範囲内にあり、低温時のVocも最大入力電圧を下回ります。

低温で電圧が上がる理由

太陽電池の電圧は温度が下がると上がります。変化の割合は仕様書のVoc温度係数で示され、例として−0.25~−0.30 %/°C程度です。Vmpは−0.35~−0.40 %/°C程度と変化が大きくなる場合があります。Vmp係数が記載されていない場合はPmax係数を近似に使えますが、限界付近では必要な最小枚数が変わります。たとえば−0.35から−0.40 %/°Cへの変更で、5枚から6枚になる例があります。できる限りVmp係数を使い、メーカーに確認してください。

1枚のVoc(25 °Cで49.5 V、温度係数−0.27 %/°C)

−10 °C(厳しい寒さ)54.2 V
0 °C(寒い朝)52.8 V
25 °C(標準条件)49.5 V
50 °C(高温時)46.2 V
70 °C(夏の屋根上)43.5 V

ストリングの枚数を計算

枚数は自由に決められません。高温時にMPPT下限へ到達するための最小枚数と、低温時に最大電圧やMPPT上限を超えないための最大枚数があります。お使いの機器の値を入力し、温度条件を変えたときの結果も確認してください。

操作して学ぶ

ストリングに何枚つなげられる?

モジュールとインバーターの仕様を入力すると、温度に応じて電圧を補正します。

52.8 V低温時の1枚あたりVoc
35.0 V高温時の1枚あたりVmp
5~11ストリングあたりの枚数
適合10枚は電圧範囲内です

10枚のストリング:Vmpは高温時350 V~低温時451 V、低温時Vocは528 VMPPT範囲最大600 V高温時Vmp 350 V低温時Vmp 451 V低温時Voc 528 V0 V345 V690 V

並列ストリングと影の影響

  • 同じ入力のストリングはモジュールの型式と枚数、方位、傾斜をそろえる
  • 東向きと西向きなど、条件が異なる屋根面は別々のMPPT入力を使う
  • 3ストリング以上の並列では逆流による過電流に特に注意し、許容電流と規定に従ってストリングヒューズを選定する

パネル配置と接続図を描く

下の図は2本のストリングを接続箱でまとめ、インバーターに接続する例です。屋根面、方位、ストリング番号、電圧を追記して使ってください。図の見た目だけで接続可否を判断せず、入力電流、短絡電流、コネクター、保護装置も確認しましょう。

Editor Solarで図を描く

この記事の図を読み込んだEditor Solarです。機器を移動し、ラベルを変更し、部品を接続して、PNG・SVG・PDFで書き出せます。無料で、すべてブラウザー上で動作します。

10枚直列のストリング2本を接続箱でまとめ、インバーターへ接続した例。

試してみましょう: 2本を別々のMPPT入力へつなぐ図に変更しましょう。接続箱を外し、各ストリングをインバーターへ直接接続して「MPPT 1」「MPPT 2」と表示してください。

すぐに使えるテンプレート: マイクロインバーターを使う系統連系の構成図

この図をフルエディターで開く ↗

さらに学ぶ

蓄電池の直列接続と並列接続蓄電池を直列・並列・直並列につなぐと、電圧、容量、電力量はどう変わる?図と計算ツールで接続方法と注意点を学びます。読了時間:約5分 → 系統連系・独立型・ハイブリッド型の違い太陽光発電の3方式を比較。動作の仕組み、停電時の違い、費用と用途を、操作できる図で確認します。読了時間:約5分 → 太陽光発電システムの保護装置ヒューズ、断路器、遮断器、SPD、漏電保護、接地の役割を学ぶ図解ガイド。直流側と交流側の違いも確認できます。読了時間:約6分 → 蓄電池のバックアップ時間を計算する電圧、容量、放電深度、インバーター効率、消費電力からバックアップ時間を概算。リチウムと鉛の違いも比較します。読了時間:約6分 → 太陽電池モジュールの仕様書の読み方Pmax、Voc、Vmp、Isc、Imp、変換効率、温度係数を理解し、モジュールとインバーターの組み合わせを確認します。読了時間:約6分 → 電気料金の請求書から家庭の使用量を見積もる方法請求書のkWhの読み方から、1日の使用量と平均電力の計算、家電の合計による確認まで。太陽光発電の容量を決める前の第一歩を解説します。読了時間:約6分 → 太陽光パネルは何枚必要?計算手順を解説月間使用量、ピークサンアワー、システム効率からパネルの枚数を計算します。実例と計算ツールで、手順を確かめられます。読了時間:約5分 → 太陽光インバーターの容量の選び方DC/AC比の考え方、インバーターがパネルより小さくてよい理由、適切な市販容量の選び方を、計算ツールで確かめながら学べます。読了時間:約5分 → W・kW・Wh・kWh・Ahの違い:太陽光発電の単位をやさしく解説電力と電力量の違い、各単位の意味、パネル・インバーター・蓄電池をつなぐ計算を、身近な例で学びます。読了時間:約5分 → 太陽光発電システムの損失と性能比(PR)発電量を減らす損失を、温度・汚れ・ケーブル・影・インバーターの面から解説。性能比を確認し、損失を調整できます。読了時間:約5分 → ストリングのパネル枚数:Voc・Vmpと温度で決めるVocとVmpと温度から、1ストリングに直列にできるパネルの最少枚数と最大枚数を、4つの例で計算します。計算ツールで自分のデータも試せます。読了時間:約6分 → 屋根の向きと傾斜角で発電量はどれだけ変わる?屋根の向きと傾斜角が発電量をどれだけ変えるかを、ケースごとの数字で解説します。計算ツールで自宅の屋根も試せます。読了時間:約5分 → 影の影響:ストリング・オプティマイザー・マイクロインバーターパネル1枚の影がなぜストリング全体を下げるのか、バイパスダイオードの働き、オプティマイザーとマイクロインバーターが役立つ場面を解説します。読了時間:約5分 → リチウム(LiFePO4)か鉛蓄電池か:どちらを選ぶ?LiFePO4リチウムと鉛蓄電池を、使える容量、寿命、供給1 kWhあたりの費用、手入れの面で比べ、用途ごとにどちらが向くかを見ます。読了時間:約5分 → 放電深度(DoD)と蓄電池の寿命DoDとは何か、浅い放電ほどサイクル数が増える理由、蓄電池が生涯に供給する電力量を解説します。計算ツールで値を試せます。読了時間:約5分 → 蓄電池は12 V・24 V・48 Vのどれを選ぶ?バンク電圧の決め方バンク電圧で電流、ケーブルの太さ、損失がどう変わるかを見て、システムの出力に合わせて12 V・24 V・48 Vを選びます。計算ツール付きです。読了時間:約5分 → BMSの役割と、インバーターとの通信が大切な理由リチウム蓄電池のBMSの働き、インバーターとの会話の仕組み、通信の有無で何が変わるかを解説します。計算ツールで上限値を試せます。読了時間:約5分 → ストリング型・マイクロ・オプティマイザーの実用比較3つの変換方式を、影、複数の屋根面、監視、費用、増設の面から比べます。計算ツールで違いを確かめられます。読了時間:約5分 → ハイブリッドインバーターの仕組みを順に解説ハイブリッドインバーターのポート、各kWの行き先を決める順序、運転モードを解説します。計算ツールでエネルギーの流れを追えます。読了時間:約5分 → 家庭用バックアップ:重要負荷回路に何をつなぐか蓄電池システムの重要負荷回路に入れる機器の選び方、インバーターの上限、バックアップ時間の見積もりを、計算ツールで確かめます。読了時間:約5分 → オフグリッドの発電機とATSの仕組みオフグリッドシステムで発電機が何のためにあるか、ATSが何を防ぐか、始動の流れ、発電機の容量の決め方を計算ツールで解説します。読了時間:約5分 → 太陽光発電の接地:各接続の役割太陽光発電システムの各接地接続の役割を、架台、インバーター、SPD、接地バーごとに解説します。概念の解説で、具体的な要件は現地の規格に従います。読了時間:約5分 → 電圧降下とケーブルの太さの選び方ケーブルの電圧降下とそのための最小断面積の計算方法、許容電流が別の基準である理由、現地の規格での確認の仕方を解説します。読了時間:約5分 → ストリングボックスの中身と必要な場面ストリングボックスの中身、ストリングごとにヒューズが必要になる条件、モジュールの電流での確認方法を、計算ツールと実例で解説します。読了時間:約5分 → 太陽光発電の単線結線図の読み方:記号とエネルギーの流れ太陽光発電システムの単線結線図の読み方を、各ブロックの意味、パネルから系統までのエネルギーの追い方、各区間で確認する点とともに解説します。読了時間:約5分 →